Bloody Bonitoとは、【血まみれ鰹】の意味です。
通常お店では、鰹節インフュージョン・ウォッカ・ベースでお作りしておりますが、試験的に減圧蒸留の鰹節ウォッカで作ってみました。
減圧蒸留器は、ホームセンターや熱帯魚ショップに行き材料を買い揃えて作りました。
材料は、ガラス容器、熱に強いエア・チューブ、逆流弁、マイクロカプラなどです。
加熱用の瓶には、昆布だし、鰹節、鰹節インフュージョン・ウォッカを入れます。
昆布だしは、水と昆布を入れて、中火にかけて、沸騰直前で昆布を取り出します。
鰹節、常温の鰹節インフュージョン・ウォッカを加えて蓋を閉めて減圧致します。
材料の入る瓶は湯煎し、もう一つのガラス瓶には蒸留されたアルコールを回収致します。
液体の沸点は、気圧が低いと下がる性質を持っています。
例えば、海抜3776メートルの富士山の頂上は、0.63気圧で、水は87.4度の温度で沸騰します。
大気圧下(1気圧)の時、アルコールの沸点は約78度(純度100%のエタノールは78.32度)です。
アルコールは、0.5気圧に減圧すると約65度、0.2気圧では約43度が沸点となります。
この手作り減圧蒸留器は、完全に0気圧の真空にする事が出来ませんが、空気がほとんどない状態で蒸留する事が出来るので、抽出効率が高くなり、成分の酸化が最小限に抑える事が出来ます。
今回は、0.5気圧以下に減圧し、60度の湯煎で蒸留致しました。
写真上は、減圧蒸留で出来た鰹節ウォッカで、インフュージョンのものに比べ濃厚な鰹節の風味が口に広がり、綺麗に仕上がっている感じでした。
ロータリーエバポレー減圧蒸留器を使えば、時間短縮ともっと安定したものが作れるかと思います。
湯煎した瓶には、減圧で抽出された鰹だしが残ります。
こちらに塩とレシチンを溶いて、ポンプで泡立て【鰹だしのアイレ(泡)】を作ります。
今回のブラッディー・ボニートのレシピは、減圧蒸留の鰹節ウォッカ、ホール・トマト、トマト・ジュース、レモン・ジュース、リーペリン・ソース、タバスコをミキサーにかけて、氷入りのグラスに濾しながら注ぎました。
仕上げに鰹節アイレを浮かべて、ドライ・トマトとコショウを振りかけて完成です。
通常のインフュージョンのものと飲み比べも致しました。
減圧蒸留の方は風味にインパクトがあり、インフュージョンの方は風味の余韻が長く感じられる仕上がりでした。
それぞれの良さがあり、味に違いがあるので面白かったです。
減圧蒸留も鰹節の配合や素材、減圧具合、更に温度を下げた蒸留などで違う味になるのは間違いないので、もっと掘り下げて研究やハーブやスパイス、その他の材料でも実験してみたいですし、精油なども作ってみたいと思います。
大変勉強になる実験でした。