2016/08/14

カクテルバー・ネマニャに蘭引蒸留器が入荷!!

先月カクテルバー・ネマニャに江戸時代のものと思われる蒸留器「蘭引(らんびき)」が入荷致しました。

郷土博物館などで展示物として見た事がありましたが、手にしたのは初めてでした。

今回オークションで購入する事が出来ました!

この蘭引は、江戸時代に蒸留器のアランビックがやってきて、日本で似せて陶器で作ったものです。

江戸初期から明治ごろまで存在し使われていた蒸留器です。


江戸時代の頃は、蘭引が実用的な蒸留器としてではなく、豪商や大名が飾りものとしても珍重されていました。

蘭引の語源はポルトガル語の蒸留器を意味する"アランビック(Alambique)"からとされています。

また、蒸留器を使用していたのが蘭学者などであり、西洋かぶれを蘭癖(ランペキ)と呼んだ事から蘭引と呼ばれる様になったとも考えられております。

蒸留器は、ポルトガル人が日本に持ち込んだものではなく、アジアらか持ち込まれたという説もあります。

仕組みは三段構造で、下段が液体と材料を入れる加熱(沸騰)槽、中段が回収槽、上段が冷却槽となっております。


加熱槽を加熱すると、気化した蒸気が冷却槽の内側に張り付き、しずくとなった蒸気が回収層に落ち注ぎ口から【露】と呼ばれる芳香蒸留水のしずくがポタポタと出て来ます。

この蘭引は、大きめですので煮出して蒸留する【ハイドロ蒸留】が向いているようです。

回収槽に材料が入れられますので、蒸す【スチーム蒸留】としても使用出来ます。

蘭引は江戸時代初期から使用され、蒸留酒や薬油、化粧水となる芳香蒸留水が作られていました。


江戸時代の化粧水としては、肌のきめ細かさを保つ「花の露」、おしろいのよくのる薬と
して知られた「江戸の水」、「菊の露」、ヘチマの「美人水」がヒット商品でした。

化粧水は、江戸の小間物店で紅や白粉と一緒に販売されいたそうです。


今回カクテルバー・ネマニャでは、カシスの葉の芳香蒸留水とジンを蒸留してみました。


カシス・リーフ・フローラル・ウオーター(カシスの葉の芳香蒸留水)は、材料3に対して液体7の割合で蒸留。

芳香蒸留水は、アランビックより良いものができそうですが、精油の回収は難しそうでした。

ジンは、ボタニカルにジュニパーベリー、コリアンダーシード、カルダモン、ローズレッド、カモミール、オールスパイス、ドライ・オレンジピール、ドライ湘南ゴールド、赤紫蘇、ワインベリー、カシスの葉を使用して作りました。

カシスの葉は乾燥したものを使い、ボタニカル全体のグラムの25%使用。


ボタニカルはウオッカに24時間浸したのち加水し、ハイドロ蒸留で仕上げてみました。

ゆっくり温め30分後にファースト・ドロップが落ちます。

1000mlの浸漬液から185mlのジンまでを回収したものが出来上がりです。

密閉度が少し弱いのか、想定していた量のジンが出来ませんでした。


只今、【蘭引蒸留のネマニャ・ジン】をサービスでご試飲頂けます。

是非味見してみて下さいませ!