2015/06/19

気液抽出法(ガス・リキッド・インフュージョン)を取り入れたカクテル紹介「SERKET」!!

本日は、カクテルバー・ネマニャで6月後半のおすすめしているカクテル「セルケト(Serket)」を紹介致します。

ラム・ベースのカクテル"スコーピオン"のツイスト・カクテルです。

セルケトは、頭上に蠍をのせた古代エジプトの死者の守護女神の事で、毒から人々を守る事から【生命の貴婦人】とも言われています。

このカクテルに使用するラムとブランデーは、気体の繊細な花の香りを液体に取り込む気液抽出法(Gas Liquid Extraction)で造っております。

気液抽出法は、”ガス・リキッド・インフュージョン”とも言います。


今回お酒に取り込んだ香りは、梔子(クチナシ)の花です。

ハワイ生まれとされるスコーピオンは、もともと梔子の花が飾りつけられていました。

天国に咲く花とも呼ばれている梔子の花言葉は、「とても幸せ」、「喜びを運ぶ」、「洗練」、「優美」です。

初夏の風に運ばれる甘い梔子の香りが、"喜びを運ぶ"ものとされ、花言葉にもなっていると言われております。


その繊細な梔子の香りを飲んで味わって頂きたいと思い、このカクテルをご用意致しました。

梔子(ガーデニア)のアロマエッセンスをお酒(スピリタス)で溶いて、簡単にカクテルが作れればよかったのですが、食品添加物の認可が取れているガーデニアの精油が無いため、気液抽出を使い、梔子酒を造る事にしました。

気液抽出法は、気体に含まれる揮発性成分を液体に抽出する方法です。

特に薔薇、ジャスミン、梔子などは繊細で、水蒸気蒸留、ハイドロ蒸留、パーコーレーション法、インフュージョン(固液抽出)では上手に成分を抽出させる事は難しいです。

抽出効率の高い減圧蒸留や超臨界流体抽出(二酸化炭素の場合31.1度)ですと、熱で失われる芳香成分を最小限に出来ると思います。


気液抽出の良いところは、熱を加えず液体に香りを移すことが出来る事です。

人が良いと思う花や果物などはの香りは、厳密には劣化臭が混ざり、死に向かっている香りです。

本当に良い芳香成分のみを分ける事が出来て、取り出すことが出来ても、それは人工的な香りに感じてしまうかも知れません。

花の芳香成分吸収に適した溶媒は油です。

リキッド油への気液抽出は、密閉容器で少なくとも1週間(飽和まではもう少しかかります)は必要かと思います。


その間、花は傷むので1、2回交換致します。

油への成分吸収は抽出効率は悪いです。

お花の成分を飽和させた油は、スピリタス(通常のスピリッツでは、液液抽出させる事が出来ません)を使えば液液抽出で成分を移す事が出来ます。

スピリタスに移る成分は、油から全て移すことは事は出来ませんが、スピリタスはお酒の中で最も油に近い成分抽出が出来る液体です。

またラードや牛脂を使う、油脂吸着冷浸法(アンフルラージュ法)で造ったポマード(香りを移した油)にスピリタスを混ぜて芳香成分を移す事も出来ますが、手間がかかります。

しかし、いずれの方法で完成したお酒をベースにするにはアルコール度数が強すぎますし、少量使いで使用となると梔子の香りは希釈し表現は難しいです。


今回のカクテルに使用しているラムとブランデーは、お酒に直接気液抽出させたものです。

スピリタス程の成分吸収はありませんが、十分に味わえる梔子酒が出来ました。

ラムは、密閉容器で2日で造りました。

密閉容器ですと花は傷みやすいので、1日4回交換致します。


ブランデーは、自作の気液抽出装置で香りを付けて行きます。

こちらの気液抽出装置ですと花の交換は、1日1回交換します。

気液抽出装置を使い3日(お酒量により日にちは増やします)で仕上げました。


レシピは、気液抽出の梔子ホワイト・ラム、気液抽出の梔子ダーク・ラム、気液抽出の梔子コニャック、グランマニエ、アーモンド・シロップ、オレンジ・ジュース、スイート&サワー・ミックス、ローズマリーのアロマです。

気液抽出で造ったお酒の味わいをこのカクテルでお楽しみ頂ければと思います。

是非この機会にご利用下さいませ!